ぶらり よーろっぱ に遊んでもらって

ロンドン時計台

YO-KINGか誰かが歌ってたっけな、僕は世界に遊んでもらっているんだって。
そう考えてみると、この世界はまだまだ遊んでないところだらけで
僕はまだまだ死ねないなぁ。

日本に19年間産まれてからずっと遊んでもらって、その中に色んな県だったり町だったり人だったり、はたまた空気だったりとあるのです。
たまにニュージーランドに遊んでもらったりして、
あ、まだまだ世界は広いんだって思ったっけね。

そしてユナイテッドステイツという大きな国に遊んでもらって一年半くらいになるのかな。
この友達は広くて寛くて、少し違うところまで飛んでいけばまた違う風にかまってくれるのです。

この冬に日本へは帰らず、また新しいところに遊んでもらおうと思ってまずはグレートブリテン及びアイルランド連合王国なるところへ飛んで行ってみた。
そこには慣れ親しんだ友人たちが生活してるというから。

飛行機は、窓側に座れれば僕はいい。
トイレに少し行きづらくても構わない。
近頃すぐに血となる様な実用書ばかり読んでいて、なかなかゆっくり物語に触れる時間を取っていなかったので、こういった時に少し物語に触れて時を楽しもうと思って三島 由紀夫の潮騒をロンドンへ向かう飛行機の中で読んだ。
上空で、それ以外得にすることもない空間で、本をゆっくり鑑賞すると言うのもまた贅沢な話だ。
その旅のお供に僕はこの本を本棚からポケットに入れて家を出た。
三島 由紀夫、二十代最後にしての純愛物語。
何でこんなにピュアなんだ。

そして久しぶりに会う友達はみんな少し大人ブレンドになった感じがした。
でも会うとすぐにすぅっと馴染めてよかった。
早朝の電車で僕だけがはしゃいでいて、ロンドンに生活する人間はいつもの通りゆっくりしているようだった。
家に着くといつも使っている僕のロス時計だと夜中で、眠かったので少し横になった。
幾分か眠ったかなと思って目をうっすら明けると、また別の友達がいた。
僕の顔は自然にほころんだ。
その日は息の白むロンドンの暖かい部屋で、コーヒーを飲んでレコードをかけてゆっくり話を楽しんで眠った。

ロスについて数日経ってこれを書き始めたが、予想以上に記憶がはっきりしているので、ここで読むのをストップしたいなと思う人用に、あらすじね。
イギリス、チェコ、ドイツ、オランダ、そしてまたイギリスを回ってロスに帰って来ましたよっていうお話。

ロンドンについて翌朝すぐに、僕らはチェコへとんだ。
降りてみると、そこは灰色で、延々と続く野原だった。
寒い。
ジャンパーの上にピーコートというありえない組み合わせを着てまで寒い。
帽子を深くかぶり、手袋をして、体を丸める。
息が白い。

字が日本語でも英語でもなくて、読めない。
何か、ローマ字の上に、ちょん、がついてるからチェコっぽい。
バス券の買い方から乗り方から大苦戦です。
4時くらいには暗くなっちゃうから余計に寒く感じて、やっと予約したホステルに着けたんだけど、早くも洗礼が。
何と、予約したのに部屋はもう他の人に貸しているではないか!
何てこった。
地理感覚も、言語もわからず、疲れと寒さでぐったり来ているのにこれから宿探しかと思うとうんざり来た。
英語もチェコ語もままならないドイツ人のおじさんと黒人の兄さんに車に乗っけてもらい再出発。
二人はホントに仕事ができなくて、まるでコメディーを見ているようで、見ていると苛立ちよりもふとおかしくなってきてしまった。
おかげでチェコのフリーウェイを行ったり来たり。
おまけにやっと見つかった宿も、オーストラリアの一行とシェアということに。
年末ということでこれ以上の条件は見込めないので、とりあえずそこで夜を越す事にした。

まだまだこの度も始まったばかり。

つづく

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お腹も空いて来たのでプラハの町を徘徊してみることにした。
おとぎの国に来たみたいだ。
街にあるものがみんな可愛くて、本当に人がここで生活していると思うと素敵だなぁと思った。
チェコのビールでいい気分になって来たところで、伝統的料理と言われるポークリブが運ばれて来た。
それはそれはでかいもので、でけーって何回言ったかわからないね。
隣に座っていた家族も俺の肉に興味津々。
日本語はわかっていないだろうけど、俺が何度も言うので、でけーっていう意味は確実に理解したんじゃないかな。笑

プラハは小さくてだいたい歩いてどこへでも行けた。
チェコは電車がカッコ良かった。
一つ一つのホームのデザインが異なっていて、用もないのに降りてみるのが楽しかった。
赤が何かとキーに使われていてハイセンス。

できればプラハ国際音楽祭の時に聞ければなと思いつつも、プラハ城の中でヴィオラとピアノとフルートの演奏を楽しんで、カフカの家を見て、街を上から見下ろすととてもいい気持だった。

ニューイヤーもプラハで過ごす事に。
街へ繰り出すと花火がすごいすごい。
何が凄いって、そこら中で新宿の様に込み合った中、みんなが上げまくってるんです。
180°の方向にも飛んでいたり、人の目線の高さで爆発していたり、恐怖としか言えない状況だった。
爆竹もすぐ足下でならされ地に足も着きやぁしない。
外でシャンパンを飲みながら無事2007年を迎え、人ごみも去った頃、カレル橋でゆっくりし直すことにした。

ボトルの水がほとんど炭酸なチェコを後にして、列車に乗り込みベルリンを目指す新年最初の日。

列車の中で国境を越え、パスポートチェック。
最初に会ったドイツ人がブッフバルト監督みたいだった。
ダンケ。とありがとうの言い方もここで変わる。
新しい言語を習う時、一個だけしか知れないとしたら、ありがとうを習うのが僕は一番良いと思う。

ドイツは結論から行くと何処よりも寒かった。
でも一番印象に残っているのは、ラップトップセッションを楽しみにCAFE ZAPATAに行って、ジャーマンテクノと言うよりは聴くエレクトロニカを楽しんでいると、何やら何度も俺の耳の中に入って来た音楽が。
何だ何だ、と思っていたらSketch Showではないか。
大興奮。
DJも僕らが日本人だと言うのに気づいたのか、親指を立ててよこした。

他には、いつか聞きたいなと思っていたベルリン フィルハーモニー オーケストラ。
ストラウスのバレエ音楽を鑑賞したんだけど、指揮者バーンスタインがカッコいいカッコいい。
背が高くて、腕がうねるうねる。
上から下に刺す様な動きが印象的だった。

ドイツ人は日本人と気質が似ている何て言うけれど、スーパーや本屋さんなんかみて見ると、なるほど、納得はする。
アメリカなんかとは違って日本人の欲しいスタイル。
あとはパンとウインナーがうまかった。

ケルン大聖堂は噂に聞いてはいたが、その迫力に圧倒された。
でかい。
と書いてみたものの、何か物足りなすぎる。
壮大?
何て言えば良いんだ。
とにかく、ごつごつしていて、ぶっとくて、別にキリスト教じゃないのに天に召されそうでした。
連日の疲れに少し見上げていたら眠ってしまいました。

原色を使った電車だったり、ゴミ箱なんかがすごくカッコいいドイツ。
でも電車のシステムが今いちピンとこない。
結局料金はほとんど払ってない!笑
きっと8割方みんな払ってないだろうな。
だって払わなくてもバレる危険性がものすごく少ないから。

そんなベルリンを後にして、あーまだまだ世間はお正月なんだなぁと全くない実感と共にオランダ、アムステルダム行きの列車に乗り込む早朝一月三日。

次回で完結しようかな、この物語も。
つづく

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オランダは、水の国って言ったらいいのかな、本当に水の多いところで癒されます。
車で道路よりボートで水路を使って移動する方が早かったというのもまんざらではなさそうだ。

アムステルダムに着くと町並みはやはり綺麗で、三つくらいストリートを歩くと一つ小川があるというような、
または家が水辺に面して作られていたり、
まさに水に恵まれて、水と同居している感じでしたね。
フラワーマーッケットなんかもイカしていました。
チューリップが可愛い。

それから、やはり他の国と決定的に違うのはマリファナ合法国ってことだろうね。
僕の行く前の想像では、それで本当に国は回転して成り立っていくのか、みんな仕事しないで道ばたでぶっ飛んでいるんじゃあないかなって考えてたので実際、自分の目で確かめたくて楽しみだった。

まずはホステルに行って荷物を下ろして街に繰り出そうとして、一度ホステルに向かったのだが、ベルリンのホステルから適当に選んでしまったため、センターからすごく遠くて最悪だった。
何しろ電車賃もバス賃も高いこの国には参る。

しかも、Flying Pig Beachという謎な名前のホステルに着くと、もうみんなぶっ飛びまくりで、その光景にはげんなりした。
なので足早に寒い街中に戻る事にした。

しかしコーヒーショップという名の葉っぱ屋さんのメニュー表は面白い。笑
コーヒーなんかじゃなくて、色んな葉っぱのメニューがのっているんだから。
本物のカフェよりも、”コーヒーショップ”の方が多くて興味深かった。

実際、水車とミッフィーちゃんだけじゃ国として国外から人を呼び込めないのか、この国の財政は葉っぱで持っているようにも映った。
葉っぱどころか、その手のお店の内容はすごい、まさに何でも屋さん。
冷蔵庫を開ければ幾種類ものマッシュルームが。笑
棚には謎なピルがたくさん。
すごくぐるぐるで引き込まれてしまいそうなアートワークからミュージックまで、ここは快楽屋さんか。

ダンキュー。
ドイツのありがとうを意味するダンケから少し変わったのね。

さぁ、残りのユーロはポンドに替えて、ロンドンに戻るよー。
明日にはサンキューだ。

ようやく次回でこの物語もおしまいになりそうだ。
つづく

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でも驚いたのが、アムステルダムからの直行便なのに入国の際に荷物のチェックが全然ないんです。
それは、もう草だって何だって流れたい放題でしょう。笑

ロンドンの冬は、いつも灰色で、空が低かったです。
ぱらぱらといつも雨が降っています。

ロンドンではね、自分がゆったりできる仲間とたくさん時間を過ごせて最高でした。
毎朝バターを塗って焼いた、黄色がこんがりいい感じのトーストを2枚と、ネスカフェで、あー寒いなーとか言いながら今日は何をしようかと考えるのが、僕の心をこう、ざわざわざわっと柔らかく興奮させていました。

何かあれだよね、雨がしとしとと降ってると、家にこもって空気をやわらかくしてくれる音楽をかけて
好きな本を手に取ってずーっとそんな時間を過ごしたくなっちゃう。
そんなんも贅沢だなーと思いながらでもやっぱせっかくいつもとは違う場所に来てるんだし、外へ出て何か見て来ようって思ったので、僕のそんな考えに体を従わせてみることにしました。

Tate Modernは、この美術館タダで見れるとは。
滅多に来れないので一気に見たけども、近所に住んでたら1回来るごとに1セクションずつ見たいなーって思いました。
濃いものがありすぎて、出て来る頃にはお腹八分目をとうに超えて痛いくらいでしたね。
気に入ったものを少し書き留めておくと、誰の作品だったかは忘れちゃったけど、あるアーティストのshitをケースに詰めたり、もしくはタダの真っ白の便器をいかにも現代アートのように置いて、そこにサインをしただけのもの。
最初何なんだろうって思ったけど、これは”何でも名のあるアーティストのサインをしておけば、ほら、もう今はアートになっちゃうでしょ”っていう皮肉的なもの。
なるほどね、って思ったよ。

British Museumとかも良かったなー。
確かロスで見たツタンカーメンもここから借りて来たやつだった気がする。
でも、もっと知識があればこういう博物館にあるのを見てもっともっと楽しめるんだろうなーって思った。

あとはー、何だったけなー。
あ、そうだ、バッキンガム宮殿での衛兵の交代式を見たけど、何だかおもちゃの兵隊みたいだったな。
でも結構盛大にやっていた。
ビートルズのサムデイを演奏した時は、あーイギリスかーと思った。

ロンドンはクラブシーンだったりレコード屋さんだったり充実していて羨ましいわぁ。
得にダンスミュージック好きな俺にとったらもう。

最後の夜荷造りをしているとi Podがなくなっていることに気づいた。
はっ、って思うより、どちらかと言うとまぁここかここにあるだろという落ち着いた風に探していたが、自分の中でありそうなランキングの一位から二位、そして三位の場所を探して、ない。
四位、五位、六位。それでもない。
ここまで来るともうこんなところに入れるはずがないというすごく可能性の低い箇所まで探し出すが、ない。

自分の記憶を慎重に遡ってみると、思い当たるのは、アムステルダムでカバンを空港会社に預けて、つまり飛行機のところにチェックインした後に、その預けられた荷物の中から抜き取られたとしか考えようがない。
ホント高くついたよ、アムス。

もう探しても探してもないので諦めて、でも寝る前にこれだけはしておこうと思う事があった。
感謝しているってことを伝えたくて、どうしようかと考えた。
みんなそれぞれに俺が撮った写真を選んであげて、それにテーマを設けて手紙を書きました。

みんなお見送りに来てくれると言ってくれて、なので14:30だよと伝えていたのに、寝る前に年の為確認で紙を見てみたら重大なミスに気づいてしまった。
14:30は出発ではなくて、ロスに到着する時間だったのだー。
急いで電話をしたけどみんな朝早くカフェに来てくれて有り難かった。

久々に再会した仲間たちとある程度の時間を過ごした事で、空いた隙間が埋まって来たところでまたバイバイ。
寂しかったけど、不思議とまた明日来るよ的な感覚で自分でも逆に驚いた。

みんなそれぞれにやっているなぁって、帰りの飛行機で考えてました。
また窓際。
雲を見たり、山脈、海、流氷、そんなものを見ているだけでちっとも飽きません。
また窓際。
良かったぁ。

上空からロスの街が見えて来ると、また体内から興奮して来て、くぅーっとモチベーションが上がって来るのがわかりました。
ビジネスだけに限らず、考える時は街全体が見えるできるだけ高いところでするべきですね。
間違いなく。
そうすると大きく構えられるんです。
ロスなんて、アメリカなんてちっぽけなもんだな。楽勝だなってね。



ロスに着いて数日。
こちらはやっぱり空が高くて青くて、暖かいです。
二週間歩き回っていたので、さすがのタフマンもここ数日はチェアーと柔らかい音楽と、コーヒーと本とお友達です。
読書をしていると非常に至福な気分になります。
また充電したら一気に動き出しますよ。
待っていろ!!