CHICAGO the MUSICAL

CHICAGOのブロードウェイを見て来ました。
最高。
最初のヴェルマ・ケリーがAll, that, j a z z..と歌うところで痺れた。
鍛え抜かれた肉体とダンスと歌という芸術。
前から6列目ということで役者の表情と指の先の動きまでしっかり見えて改めてプロのレベルを痛感した。

あの鬼才Bob Fossyによる振付けで、1975年にミュージカルとしてニューヨークで幕をあげ、同年のトニー賞11部門にノミネートされるが、同年オープンした『コーラスライン』に賞を独占され完敗し、1977年に898回のロングランを記録し無冠で閉幕したという。その後1996年にリバイバルとして、ボブ・フォッシーの愛弟子アン・ラインキングを振り付けに迎え、翌年の1997年度にはトニー賞、8部門ノミネート、6部門受賞に輝いた。つまり僕が見たものは直接Bobによるものではないが、そのキレはベースにしっかり残って輝いていた。

帽子の角度、煙草のふかし方、足の組み方、メッシュの衣装、とそれはそれはセクシーでクール以外の何ものでもなかった。すごくカッコいい。

良い脚本には"Beat"があるというが、主人公を中心に調子がいいと思ったら壁にぶち当たって下がり、またそれを乗り越えて、という風にup and downのビートがしっかり効いていて見ていて飽きない。引き込まれる。キャラクターもしっかり確立されていて、笑いもしっかりあるのだ。エンディングも気持ちよくハッピーに終わる。

こういうレベルの高いものを見ると、ダンサーでもシンガーでもない自分だが、そういうものに本気で打ち込んで舞台に立ちたいと真剣に思ってしまう。とにかくそれくらいすごいのだ。舞台装置なんて全然なくて、シンプルなステージでここまでできてしまうのはすごいとしか言いようがない。

映画の方を先に見てから行ったのだけれど、その方がストーリーをしっかり踏まえているし音楽も聴いたことがある状態だから、Musicalを純粋に楽しめるなと今回でわかった。それは、知らないミュージシャンを初めてコンサートで聞くのと、CDで何度も聞いて、本物をライブで見るのを待ちこがれるくらいの感動の差があるのかもしれない。だったら後者がいいよね。

映画の方はというと、監督、Rob Marshallの力量が存分に発揮されてます。
一つ一つのショットがカッコいい。 全然ミュージカルに引けをとってない。
今までのミュージカルと違って、現実世界で役者が歌い出すという演出方法から変わって、ミュージカルは役者の想像の世界で行われ、現実といったりきたりするのだ。その編集がとてもすばらしい。しかもRobは役者を映画の為にここまで育て上げたという。素晴らしい。